「団地の空き家を店にした」というニュースに思った未来の住まいとお隣さんの話

先日、面白いニュースを見つけました。

参考 団地の空き家を店にしたら・・・みんな笑顔に日テレニュース24

現代は空き家が目立つ築50年の高度経済成長の時期に建設された団地。この団地の空き家を総菜屋として改装したところ、団地に住む高齢者の住民に大好評というニュースです。

室内には飲食ができるカフェスペースもあり、出来たての定食を食べることも可能だそう。

特に一人暮らしの女性(おばあちゃん)は
・一人で食事をするよりも美味しく感じる。
・同じ団地に住む人が元気かどうか知ることができるのが助かる。
・スーパーへの買い物が大変だから助かる
との理由で、この改装された空室スペースをよく利用、女性同士で女子会を開いているんだとか^_^

ステキな取り組みだと思うと同時に、とても人ごとではないと思うニュースです。

人生100年時代が来ると言われて久しいですが、100年生きると言われているからこそ、できるだけ自分の力で自宅で生活をしたいと思いますし、今後ますますこのような「空き家問題」「住居者の高齢化」に対する解決の需要は増えていきそうです。

 

少し話が逸れますが、私の両親のことをここで少し。

私の両親は和歌山の超ど田舎育ち。
スーパーめっちゃ遠い、最寄駅まで車で30分、バス停まで自転車で20分の田舎。

あまりにも田舎すぎて殆どの住民が顔見知りというのはもちろん、住んでいる人の子供・孫がどんな人なのかもみんなが知っているという状況で、例えば自分が留守の時に急に雨が降ってきたら、お隣さんが勝手に自分の庭に入り、洗濯物を勝手に取り込んでくれるくらいの田舎度。

この「勝手に洗濯物を取り入れてくれる優しさ」をどう思われますか?
都会に住んでいるひとだったら「え、それはちょっと・・・」ときっとなりますよね。

私の母は、このあまりにも田舎すぎる環境に常に嫌気がさしていたようで、「ぜってー都会に行く人と結婚する!」と鼻息荒い娘時代を過ごしていたようですが、その母も今年65歳。
「みんなが知り合い、という環境の田舎は、一人ぼっちで生活することになった時心強いかもね」と角の取れまくったまんまるい発言をするようになっています。

話を先ほどのマンションカフェに戻しますが、
私は先ほどのニュースを聞き、同じ地域に住んでいる人とのコミュニケーションは大事だな、と感じました。

ここで意味する「同じ地域」というのは、市内のカフェやコミュニティスペースに集まって気の合う仲間同士ワイワイ過ごす、だけではありません。
自分の住んでいるマンションにどういう人が住んでいるのか、お隣さんがどういう人なのか、というのを少しでもいい知っておくということです。

私は夫と結婚する際、夫の所有するマンションに引っ越しましたが、2年前マンション理事会の当番が回ってきました。1ヶ月に1度日曜日に、当番になった理事の人が集まり、マンションの修繕の計画を進めたり、問題になっていることを話合うなど、まあマックスレベルで働いている私たち世代には面倒極まりない集会です。

夫は飲食業ですので「日曜日はいけない」の一点張り。
仕方なく私が出席することにしました。もう面倒で面倒で「こんな会合、意味ねー!」と思っているのに加え、パソコンを使える人も私しかいなかったので書記に抜擢、毎回会合の議事録を記録する係になり、「ああ憂鬱だー。面倒だー」と最初は一人でブツブツしていました。

「あーめんどい、めんどい」
そう思いながら毎月一回の理事会会合に出席していましたが、私は理事会の当番が回ってきて、今では本当によかったと思っています。

毎回私の両親ほどの年齢の方と顔を合わせ、挨拶をし、会話を重ねていくうちに、「ここにはあの人が住んでいるんだ」とか「もし困ったことがあってもあの人に相談したら大丈夫そうだな」とか、どのような人が自分の周りにいるのか、というのが面倒だった理事会を通してとても良く分かったからです。

お隣に住んでいるおばあちゃん(88歳)とも会話をするようになりました。少し足がお悪いようですが、今でも踊りの先生をされているとてもお元気な方、外出される時はお化粧をしっかりしておしゃれをしている素敵な方です。

以前、東京で一人暮らしをしている時には、住人の方とすれ違った時に挨拶程度はしますけれど、名前もわからないし、何をしている人か全く知らない。
逆に言うと変な人かもしれないから、なるべく関わりたくない、というのが本心だったかもしれません。

長く住み続ける住居の周りに、どういう人が住んでいるのか、ということを知るのはこれからの時代、大切だと思いますし、疎かにしてはいけない「リアル」なコミュニケーションだと思っています。

好きな人同士だけで楽しく過ごすのも大切だし、とても良いことですが、自分の家族や周りの人と深くなくてもいい、せめてお名前を覚えて、何か合った時は相談をし合えるような関係を築いていくことも大切なことなのではないかなと、このニュースを聞いて感じました。

ちなみに、昨年とある不動産会社の展示パネルを多数制作しましたが、その中に「未来のマンション」のあり方を想像したパネルがありました。

そのパネルの内容は
・マンション内にみんなが集って飲食ができるスペースがある
・マンション内にオーガニック野菜や食材を販売している店がある
・子供が不自由なく遊んだり、読書や昼寝ができるスペースがある
・コンシェルジュがロボットである(何台もいる)
など、そう遠くはない未来にできそうなマンションの未来を提案する内容でした。

これ、住居の形態や場所が違うだけで、ロボットの件は置いておいて、全てが同じだとは思いませんが、若い日の母が嫌っていた田舎に似たスタイルのような気もしています。

さあて。面倒な理事会は今年5月まで当番ですが(笑)、当番の割合は10年に1度。めんどうめんどう、と思わずにこれもせっかくのご縁ですからこの機会を大切にしていきたいなと思っています。

それでは今日はこのへんで。

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