キョロキョロすれば通り道でも面白い発見がある話

先日、結婚式に出席するため久しぶりにみなとみらい駅を利用。会場へ向かうために直結しているクイーンズスクエア横浜の中を通った時の話です。

地下から地上に移動する長いエスカレーターに乗っていると、突然目の前に詩のような文章が書かれた大きな壁が現れました。

樹木は育成することのない
Der Baum treibt unzählige Keime,

無数の芽を生み、
die unentwickelt verderben, und

根をはり、枝や葉を拡げて
streckt weit mehr Wurzeln, Zweige und Blätter

個体と種の保存にはあまりあるほどの
nach Nahrung aus, als zu Erhaltung seines Individuums

養分を吸収する。
und seiner Gattung verwendet werden.

樹木は、この溢れんばかりの過剰を
Was er von seiner verschwenderischen Fülle

使うことも、享受することもなく自然に還すが
ungebraucht und ungenossen dem Elementarreich zurückgibt,

動物はこの溢れる養分を、自由で
das darf das Lebendige in fröhlicher

嬉々としたみずからの運動に使用する。
Bewegung verschwelgen. So gibt uns die Natur

このように自然は、その初源からの生命の
schon in ihrem materiellen Reich ein

無限の展開にむけての秩序を奏でている。
Vorspiel des Unbegrenzten und hebt

物質としての束縛を少しずつ断ちきり、
hier schon zum Teil die Fesseln auf, deren sie sich

やがて自らの姿を自由に変えていくのである。
im Reich der Form ganz und gar entledigt.

フリードリヒ・フォン・シラー
Friedrich von Schiller

あまりにも気になったので後で調べると、この巨大な石板は、コンセプチュアルアートの第一人者として世界的にも著名なアメリカのアーティスト、ジョセフ・コスースの作品(タイトル”The Boundaries of the Limitless”)ということが判明。

ただの壁ではなく、アート作品だったんですね。

lev radin / Shutterstock.com

(Works by Luigi Ghirri and Joseph Kosuth on display)

そして、ここに書かれているのは詩ではなく、ベートーヴェンの交響曲第9番の詩の作者として有名なフリードリヒ・シラーさんが、デンマークの王子・アウグステンブルク公にあてた手紙(タイトル:人間の美的教育について)のテキストの一部。

ジョセフ・コスースは、「現代が直面するエコロジカルな問題」を問うため、この手紙の一部を抜粋して、ネオン管と石を用いて巧みに表現していると言われています。(コンセプチュアルアートなので、本当のところは作者本人にしかわかりませんが)

残念ながら時間がなく見れませんでしたが、この壁面の他にもクイーンズスクエア横浜には、合計9つの個性溢れるパブリックアートがあります。

みなとみらいは海が近くて気持ちいいです^_^

緊急事態宣言が発令されて、美術館をはじめデパートの上階やギャラリーなどで開催されていた展示も中止になっているので、このように、商業施設の中でにアートがあるとちょっと嬉しくなります。

例え、そのアートの意味がわからなくても(コンセプチュアルアートなんて解釈が超難しいし)、こうやって思わず写真に収めたくなったり、後から作品の経緯を調べたくなるきっかけを作ってくれるアートや作品に触れられる場所は本当に大事。

こうやって身近なところでも、キョロキョロしていると「知らなかったものに触れられる」チャンスがたくさんあります。

なかなか遠出が叶わない毎日ですが、普段通るところでもぼんやりするのではなく、観察しながら面白い発見をしたいと思う今日このごろです。

それでは今日はこのへんで。

\お読みいただきありがとうございます/

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