ヒートテックが「売れなくなる」方法を考えてみた

先日、夕ご飯の支度をする時にテレビをつけると、冬に欠かせない「あったかインナー」の特集がされていました。

「あったかインナー」と言えば、2003年に登場したユニクロのヒートテックが圧倒的な知名度を誇りますが、現在は200社以上が開発・販売しておりその市場規模は国内だけでも121億円、海外での販売分を合わせると325億円。

売り上げは初年度(2003年)から約10年で80倍も伸びている業界です。

私も冬はもちろんですが、春先の少し肌寒い時も「あったかインナー」は欠かせません。

番組ではなぜ「あったかインナー」が軽くて薄いのに暖かいのかを解明するコーナーがあり、生地を開発した繊維会社の開発部門が映し出されていました。

人間は運動をしなくても日中800mlの汗をかきます。
「あったかインナー」の生地は、人間から出る水蒸気を吸収する時に熱に変えるという特殊な素材を使っています。

その特殊な生地のおかげで、あんなに薄くてもしっかり暖かいんですね。

番組では生地の機能性を確かめるため繊維会社が開発した「汗をかけるロボット」も紹介されていました。
この特別に作られたロボットには汗が出る穴が20万以上空いており、しかもその穴は仏像を彫る職人さんの手により一つ一つ手作業で作られたものだそう。

開発のお値段も相当なものです。

・・・

ところで、

もしユニクロがこの「開発秘話」や苦労話を
永遠と店頭のPOPやテレビCMで永遠と語っていたらどうでしょう?

きっとここまで売れていません。

さきほどご紹介した特殊ロボットや、生地の構造の開発はもちろん大事な要素です。
でもそれは着用するお客様には関係ないことです。

着用する時に
「ああ、これはあのロボットが実験を繰り返して・・・」
とは思いませんよね。

「あったかいなー。薄いのに真冬でも平気だなー」
と思うはずです。

一番大切なのは、
「薄い生地でも真冬も暖かい」
「重ね着しなくてもいい」
などお客様目線のメリットをアピールすることです。

かつてユニクロのテレビCMで、真冬のニューヨークでヒートテックを着用し上にアウターを一枚羽織って颯爽と歩く人の姿が映し出されるCMがありました。

真冬のニューヨークを訪れたことがありませんが、
以前ニューヨークフリークの方から「初めて行く時、1月や2月に行ったら二度とニューヨークに行きたくなくなるよ」と言われたのを思い出します。

それくらい寒いNYでも平気、ということをこのCMでは語っているんですね。

商品やサービスを開発した側は、どうしても自分の思いをチラシにWEBに詰め込みたくなります。
もちろん開発の苦労、かかった費用、自分の経歴があるからこそできた商品・サービスかもしれません。

しかし残念ながらその思い・過去の経験は、ほとんどのお客様にとっては重要ではありません。

「いい商品だから売れる」と確信しているのだったら
「いい商品だから→お客様がどう良くなるのか?」をしっかり語るともっと売れるはず。

・・・とあったかインナーの開発秘話を見ながら改めてそう感じました。

ちなみにユニクロのヒートテックは、海外から来日した旅行客の皆様にも大人気。
海外ではこのようなハイテク生地を使ったインナーはないので、日本に来た時は家族分をまとめて購入する方がとても多いそうです。

日本の技術ってすごいね。

すごいけれど、それがもっと多くの人に伝わるような広告が増えればいいな、と思いますし自分も増やしていこうと思います^_^

それでは今日はこのへんで

\お読みいただきありがとうございます/

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