「断面」をアピールすれば売上がアップするかも
以前とある会社のレシピブックの製作を担当し、代理店のご担当者と打ち合わせしていた時のこと。
担:「あ、ニシさん。この巻き寿司のページは、この断面が写っている写真を使ってください。」
私:「はい。断面が写っている写真ですね(メモメモ)。」
担:「今ね、断面萌えが流行っているですよ。断面萌え。」
私:「断面・・・。確かに美味しそうに見えますね。」
担:「でしょ、外見だけの見栄えじゃダメなんですよもう。
切った時のかわいさと「わあ!」って感じが重要なんですよ女性は」
私:「・・・確かに何の具材がどういう風に入っているかもよくわかりますね。」
断面萌え。
食品を包丁でカットした際に現れる、カラフルで美しい食べ物のその様をスマホで撮影、主にインスタグラムなどのSNSに「#断面萌え #萌え断」というハッシュドタグをつけて投稿する、ということ。
人気インスタグラマー「ぺこさん」から発信されたことが流行のきっかけとも言われています。
パンやベーグル、巻き寿司など、重視するのはその味ではなく、見た目でもない、
切った時に現れる断面。
手作りのパンウドケーキに現れる不揃いの断面も「かわいい」ので大人気。
サンドウィッチに関しては、にぎにぎしく溢れんばかりの具材が詰まった断面目当てに行列ができるお店もあります。
味はともかく、重視するのは「断面」。
でも写真で見るカラフルなその写真は、きっと味も美味しいんだろう、と想像してしまいます。
見た目の「映え」はもう当たり前、今は中身の「映え」のようです。
ですが、中身を公開することは、ただ写真映えの欲求を満たすだけではありません。
伊勢丹のクリスマスケーキは全て広告で断面を公開している
昨年もありましたが、今年も伊勢丹のクリスマスケーキはその広告に全ての断面を掲載し、その素材を全て説明しています。
断面萌えの流行とは始まりが異なりますが、
伊勢丹では「断面萌え」2014年からカタログにケーキの断面を掲載し始めました。
伊勢丹のクリスマスケーキ担当のバイヤーさんは女性だそうですが、お目のつけどころが素敵でございます。しかもリアルな断面写真は実際に切り分けてもらう時の楽しみにしてもらうため、あえて可愛らしいイラストで記載しています。
そして、このクリスマスケーキカタログ、ただ断面だけをアピールしているわけではありません。
・中にどのようなフルーツ、素材が入っているのかを全て解説している
・パティシエが使う一般の皆様に馴染みのない専門用語をわかりやすく解説している
お客様が「ちょっと気になる」この二つを網羅したパンフレットなのです。
もし食べられないフルーツや食材があっても、これを見れば解決。
ケーキの上の飾りも食べられるか否か、これを見れば解決。
フランス語由来のわかりにくい用語をわかりやすく解説、どういうケーキなのか、これを見れば解決。
年に一度、家族やお友達、カップルなど複数人で集う場に登場するクリスマスケーキを、安心して中身がわかるように召し上がってもらいたいという思いから登場したこの断面カタログ。
実際購入したお客様からは
・中身に何が入っているのかわかるので嬉しい
・図鑑を見ているみたいで選ぶのがとても楽しい
・パティシエさんのこだわりもわかりやすいし選ぶ際に重宝している
というコメントがSNS上で多く寄せられ話題になっています。
お客様の気持ちを考えた素晴らしいパンフレット。
食べ物の断面は、SNS映えするだけでなく、お客様の「知りたいこと」を解決してくれる大切な見せ方の一つなんですね。
作り手のこだわりは「お客様」にわかりやすく説明することが大切
様々な作り手の方にお会いしますが、自社のこだわりを強くアピールしてくる方、見た目だけを重視する方、店舗の雰囲気やパッケージだけにこだわる方、様々な方がいらっしゃいます。
どれもとても大切なことですが、「最後に使用されるお客様が何を求めているか」をいつも大切にしてその商品を世に送り出す人たちが増えれば、もっとお買い物は楽しくなりますし、企業・会社の売上もきっと上がっていきます。
言い方・見せ方を少し変えるだけでお客様の反応が違ってくる。
デザインもコピーも、自分のこだわりとお客様の思いを繋ぐアイデアが大切です。
「お客様の知りたい」ことは常に大切。何を製作する時もこのことを忘れずにいたいものです!
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