料理は“創造”を取り戻す

久しぶりに一生手元に置いておきたくなる本に出会いました。
昨年末に発売された、坂口恭平さんの著書「cook」という本です。

この本はレシピ本ではないので料理の作り方は載っていません。
ですが、毎日料理に関わる皆さん、毎日何かに少し悩んでいるみなさんにはぜひ手に取っていただきたいと思います。きっと“料理”に対するイメージ、料理観が変わる、毎日が少しづつ良く見えるようなきっかけを作ってくれる、そんな一冊です。

私は、著者の坂口恭平さんを数年前にtwitterで知りました。
そのツイートには坂口さんご本人の電話番号が載っており、「もし今死のうと思っている人がいたらここに電話をかけてきてください。僕が止めますから」という内容だったように記憶しています。(後から知りましたがこの電話番号は“新政府いのっち電話”というそうです)

この人随分親身なツイートしてるなー、と思いほんの興味本位でフォローし、そこから坂口恭平さんのことを知りました。
坂口さんは作家、写真家、建築家など多彩な才能で活躍し書籍を何冊か出版し各賞を受賞、ノミネートしている傍、自ら躁うつ病であることを公言している方でした。

私のごく身近にも、同じように躁うつ病で苦しんでいる人が何人かいました。
私は遂にその人たちに何もしてあげられなかった。

よく躁うつ病を改善する方法として、朝日を浴びるだの、散歩するだのをアドバイスがありますが、実際に苦しんでいる本人にとってはそんなことは本当に大きなお世話でしかない。存在していること自体が苦痛でしかない、そんな感じです。

もし今も実際に苦しんでいる人にとっては、料理も余計なお世話かもしれません。
でも私たちみんなに一番身近な創造する行いであり、その創造で自身が満たされればきっと大きな自身につながっていく料理。白ご飯を炊くだけでも、卵をパカっと割って目玉焼きを作るだけでもいい、
料理は一番簡単な創造する行為であり、思考を助けてくれると本書には綴られています。

料理をすると、「さあ、明日どうする?」ということを考えるようになる。
考えることが楽しい。
僕は明日どうするって、これまであんまり考えてこなかった。
この考えが鬱に効く。
鬱の時、明日が来なければいいとばかり思う。
どんな明日か、なんて創造しない。創造すると楽しいことを忘れてた。(巻末のエッセイより抜粋)

また、料理を“貯作業”としている坂口さん独自の概念にもとても気づきをもらいました。

お金の貯蓄よりも、大事なのはこの貯作業だと思う。(中略)貯作業は違う。

努力を継続することで貯められたあなたの作業は、確実にあなたの体の成分の一つとなる。そして、作業は続けている限り永遠になくなることがない。その価値はあなた自身がじんわりと味わうことになる。他の人と比べる必要もない。世界恐慌が来ても、貯作業は変動しない。時間を経れば経るほど技術は向上し、喜びも増し、さらに貯作業をしようと意欲を持つことだろう。
お金を貯めるのではなく作業を貯めよう。
僕は料理を継続していきながら、その可能性を大きく感じていった。(巻末のエッセイより抜粋)

自分を満たすための創造を継続すること、
それが坂口さんにとっては料理であり、自分を満たす行為であったこと。

私も創造する仕事をしていますが、常に相手がいてこその仕事。
少し疲れた時には、自分を満たすことに時間を使うこともとても大切と気づきました。

我が家は調理師の夫が普段家で料理を作ってくれますが、今日は私も久しぶりにカルボナーラを作りました。ちょっとぼそぼそしていましたが、自分のためにクリエイティブな時間を持つことで、ここ最近抱えているヘビーな仕事へのプレッシャーも少し楽に感じられる気がします。

創造する大切さに気づき、なんだかホッとすることができるとてもオススメしたい素敵な1冊です。
それでは今日はこの辺で。

ーいつもお読みいただきありがとうございますー
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