今回の旅の目的の一つ、「エストニアの国の魅力を肌で感じること」。
電子政府、IT先進国、デジタルノマドビザ・・・などなど日本の30年先を行く国として有名で、その取り組みも本当に革新的ですが、実際にその雰囲気を感じるべく、昨日はエストニア政府運営の「e-Estonia Showroom」という電子政府の取り組みを紹介しているショールームに見学に行きました。
首都タリンの中心部から車で10分くらいの場所にあります。
(ショールームの見学はWEBサイトから簡単にできますが、観光目的の訪問はNGの可能性がありますので事前に見学目的などを入力する必要があります)
(e-Estonia Showroomの外観。こじんまりした印象です)
ショールームの中は、エストニアのこれまでの取り組みや歴史などの展示物がたくさん。
デザインも美しいです。
(手前の自転車のような乗り物は「Stigo」という折りたたみ式電動バイク(アシストなし)重さは15kgほどで時速20kmほどの速さで公道も走れるそうです。)
こちらはエストニア生まれのSkype紹介のパネル。
ショールームでは電子政府の仕組みや取り組みなどの簡単なプレゼンテーションと質疑応答などを含めて約2時間滞在。(プレゼンテーションは英語orエストニア語)
プレゼンテーションの内容を簡単ですが、まとめてみます。
デジタル化することで大切なこと1:「使いやすい」
すべてのエストニア居住者は電子IDカードを持ち、世界で唯一24時間365日、公共サービスの99%をオンラインで済ませることができます。(結婚・離婚・不動産売却以外)
法人設立もオンライン上でわずか15分で終了。まるでブログを立ち上げるような操作で会社を作ることが可能です。
(これがIDカードのサンプル。スロット付きの特殊なパソコンに直接挿入するか、USBで読み込めるリーダーをつけて使用します)
日本に比べるとすんごい便利だなー、と思いますが、
なんでもかんでも電子化電子化!開発開発!という感じでもなさそうで、
電子化されたサービスを、国民にとって使いやすい環境に整えることに重点を置いているそうです。
公共のサービスですから国民が等しくサービスを受けられるようにすることがとても大切。「使い方がわからない」という不満を限りなくなくすようエストニアの政府は日々そのことに重点を置いているそうです。
また強いリーダーシップを取る人たちがいるからこそ、電子政府は継続されているとのこと。
当然ですが、「自己満足」のようなシステムではないということです。
お客様目線、ならず、国民目線ですね。
デジタル化することで大切なこと2:「正しい教育」
子どもからお年を召した方まで不自由なくネットを使えるようエストニアでは90年代からIT教育をスタート。おかげで今ではネットの使い方そのものよりも、セキュリティに関しての関心が高まってきているそうです。
ちなみに、小学校の教育についてはプログラミングやロボット教育がすでに始まっており、すでに85%の学校がe-School(インターネット教育の仕組み)を導入、2020年までにすべてをデジタル教材に移行予定とのこと。
数年後には教科書もいらない学校生活になるんですね。
デジタル化することで大切なこと3:「安全性・透明性」
大切な個人情報だからこそ、安全に使えることはとても大切。
IDカードを使ってやりとりした記録は
・誰が
・どの情報に
・どの目的で
アクセスしたのかが、このようなグラフで閲覧可能。また全てのログイン情報、やりとりの履歴は全て記憶されているそうです。
PCでやりとりしても、スマートフォンで専用のアプリを使えばそちらにも履歴が表示。
政府が勝手に個人情報にアクセスしていないか、許可していない第三者に個人情報が見られていないか、ハッキングの被害に遭っていないか、などしっかりと確認できるようになっているそうです。
こちらは「エックスロード」という電子政府の肝の部分であるサーバーの利用状況などが見れるサイト
https://www.x-tee.ee/factsheets/EE/
ちなみにこちらの写真は、これまで世界で起こったデジタルシステムの被害規模のグラフ。
色で被害種類(ハッキング・不正使用・操作ミスなど)を表示、
円の大きさでその被害数を表示してます。
(これを見るとe-bayは以前に大規模なハッキング被害を受けたようです。)
もちろんエストニア政府も以前に攻撃を受けたことがあるようですが、攻撃を受けるたびにシステムの改善を繰り返し、安全性をクリアすることに努力を欠かさなかったそうです。
おまけ
ショールームで無料でいただいてきたデザイン的にも美しすぎるエストニア政府の資料たち。
中身だけではなく、ショールームを訪れた人に自分たちの魅力・取り組みをわかってもらうためにこのような美しい(本当に美しい)資料を用意しているなんて・・・。
夜、ホテルで一人じっくり眺めていましたが資料として美しすぎる。
英語がなかなか読めないので、これを読むべきもっと勉強する!と一人決意を固めた次第です。
おまけのおまけ
ショールーム1階の受付左側にお手洗いがあるのですが、その奥になぜか男性専用の美容院。
最初ね「何でこんなところにあるのさ?」と思ったんです。
もしかして徹夜した人のケアのため・・・?とか考えたんですが、もちろんそんなはずもなく。
これは個人的な見解ですが、
こちらのショールームには各国を代表される要人の方々もお見えになるはず。
その方達をふさわしい姿でお迎えするべく、このような美容院があるのでは・・・と勝手に想像しています。
もしそれが本当だったら、お迎えする側の意識も本当に素晴らしいのではないでしょうか。
今日のまとめ
常に国民のためにシステムのより良い改善をしてきているエストニア政府。
この政府の姿勢を私たちも見習うべきだと感じましたし、従来のやり方が正しいのではなく「より良くなるためには」「みんなに使ってもらうためには」ということを常に意識して取り組むことが、これからの未来を生きていく上で欠かせない大切なことだと思いました。
とても貴重な内容を知ることができ、良い経験をさせてくださったこの見学の機会に超感謝です。
それでは今日はこの辺で。
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