先日「短い言葉を武器に」する話を書いたのですが、
そういう意味でも日頃からクリエイターの方々が発信するツイッターはこまめにチェックしています。
中には乱暴なつぶやきをする人もいますが、140文字という制限の中で、伝わる言葉を発信している人のつぶやきは本当に面白い。(私も本腰入れてツイッターやろうと思う)
そんなツイッターを眺めていると、
今日も非常に興味のあるつぶやきを見つけました。
それは、
お蕎麦屋さんの「そば打ち職人」の求人に使われたキャッチコピーの紹介です。
これから3点のキャッチコピーを紹介しますが、
3点とも実際の広告に掲載されたものだそう。
掲載1度目
創業120年、愛され続ける老舗です
掲載2度目
遠方からのお客様も多い人気のお店です
掲載3度目
一日中誰とも話さなくていい仕事
さて、この3度の掲載の中で、最も応募が来たのはどれだと思いますか?
答えは掲載3度目の「一日中誰とも話さなくていい仕事」なんですね。
なんと50名の応募があったそうです。
ちなみに掲載1度目と、2度目はいずれも応募者0人。
いかに3度目のコピーが刺さっているかが、数字から見てわかります。
本当にあった、
蕎麦屋の「そば打ち職人」の
求人広告のキャッチコピー。掲載1回目
「創業120年、愛され続ける老舗です」応募0名
掲載2回目
「遠方からのお客様も多い人気のお店です」応募0名
掲載3回目
「一日中誰とも話さなくていい仕事」応募50名→いい人が採用できました!本当にありがとう!
— 黒田真行@採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ (@damadama777) February 14, 2020
このツイートを発信したリクナビNEXT元編集長の黒田真行さんは、続けて次のようにつぶやいています。
「まじめでコツコツ仕事できる人が欲しい」
というクライアントの要望に合わせ、ついつい欲張りがちな「愛想がいい」とか「コミュ力がある」とか「接客できる」など、業務には余分な要素を排除した時に、内向的で口下手だがまじめな人たちが、この求人に救われたように集まったそうです。
「どういう人を集めたいか」にフォーカスしまくった結果、余計な文章を削ぎ落とし、発想を変えたコピーを投げかけたところ、応募者が殺到。
イメージ戦略ではなく、本当に必要な要素を伝えることの大切さに気付かされるエピソードです。
以前も、京都で有名なステーキ丼専門店「佰食屋」さんが行なっている求人について本ブログに書きましたが、
(その時の記事はコチラからお読みください↓)
「アットホームでみんなが仲良しの職場」
「風通しが良く役職名で呼び合わない」
ことを職場に求めている人が実際にどれくらいいるのか?
求人に応募する人の気持ちを最初に知るのは本当に大切ですよね。
佰食屋さんでは「決められた仕事を時間通りに間違いなく毎日コツコツやってくれる人」を募集しています。
だから、学歴や職歴も関係なく、いわゆるコミュ障の人でも「仕事さえちゃんとやってくれれば良い」という考えの元、選考して社員さんを採用してます。
だから「自分から率先して働いたり、業務改善をバリバリ行いたい人にはウチは向かない」とオーナーである中村朱美さんは著書の中できっぱりと発信しています。
「売上を減らす」ことで人生を豊かにする飲食店オーナーの経営方針とは話が逸れてしまいましたが、
先ほどのお蕎麦屋さんの求人広告の話。
掲載3度目の
「一日中誰とも話さなくていい仕事」について
もう一つ私が素晴らしいと感じた点があります。
それは、
このコピーを求人広告に掲載することを、
蕎麦屋のオーナーがOKしたことです。
もちろんこのコピーを考えたライターさんはすごい。素晴らしい発想で本当に見習いたいと感じます。
ですが、
このコピーにGOサインを出したオーナーさんには、ライターさん以上に感銘を受け、懐の深さを感じざるを得ません。
掲載1度目、2度目のコピーからもわかるように、恐らくこのお蕎麦屋さんは創業120年という歴史を持つ老舗であり、県外からもお客様がお見えになる有名な店舗なのではないかと思います。
このような老舗のご主人が、
歴史ある自身の蕎麦打ちのお仕事を
「一日中誰とも話さなくていい仕事」
という表現をすることにOKを出したこと。
これは本当にすごいことです。
同時にこの提案をこちらのお蕎麦屋さんにプレゼンした営業さんもすごいと感じます。
もしかしたら最初は
「は?こんなナメたコピー使えるかよ!ウチは創業120年で、うんたらかんたら・・・」と反対していたかもしれません。もしそのように反対していたとすれば、それを説き伏せた営業さんの腕力は並大抵じゃないです。
私もよくチラシを作りますが、クライアントによってはものすごく強いこだわりを持つ人がいます。
チラシを作って集客したい、たくさんのお客様を集めたいという思いは変わりません。
ですが、同じくらい自分のこだわりにも強い思いがあるんですね。中にはご自身で考えたポエム風のコピーを入れてくれ、と力説してくる人もいます。
もちろんポエムを入れることを考慮はします。
しますが、
今一度チラシを作ることの「目的」をぜひお考えいただきたいと思います。
・チラシを配って1人でも多く集客したいのか
・ご自身のポエムを披露したいのか
どっちも大事やねん!だからお前が何とかせえー!と思っていらっしゃるのなら、非常に厳しい結果が待っていると言っても過言ではありません。「二兎追うものは一兎も得ず」とはよく言ったものでございます。
デザイナーもライターも
全てを解決する魔法使いではありません。
反応が出るコピーを書く、デザインを起こすためには、実はクライアントの皆々様の協力・理解がとても重要です。
私も決してプレゼンが得意なタイプではないので「俺の作ったポエムを入れろー!」と言われると、ついそっちに引っ張られそうになります。
でもこれではダメですね。
クリエイターに必要なのは、クライアントの意見と自分の提案を上手くマッチさせること、時には提案を受け入れる説得を上手に行うことが必要なのではないかと、このツイッターのつぶやきを見てつくづくそう感じています。
テクニックではなく、キュレーターのような役割が必要なんですね。
もうある意味魔法使いなのかもしれん。
仕事って大変です。だからこそやりがいもあり面白く感じる今日この頃です。
それでは今日はこのへんで
\お読みいただきありがとうございます/
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