将棋士の羽生善治先生の著書「決断力」を読了しました。本書は今から15年前の2005年に発売されていますが、15年経過した今このコロナ禍で、改めて「自分で決断することの大切さ」を実感できる1冊です。
個人的な話で大変恐縮ですが、
私の父親は、学生の頃からかれこれ50年以上将棋を趣味にしており、休日の度に将棋会館に出かけ対局し、毎年トーナメント戦にも出場し昨年はなんと兵庫県代表になり、一時期は将棋の先生もつとめるほどに。
私が幼い頃から日曜日の午前中にNHKで放送される対局は必ずチェックしており、竜王戦や名人戦の対局中継を家族で見た思い出があります。
そんな父親から、
「羽生さんはすごい」
「羽生さんは天才だ」
と聞かされた“娘時代”を過ごしてきたので、「きっと私らとは生まれつき頭のつくりが違う」という先入観と、難しい内容が書かれているのではと思いながら本書を拝読したのですが、書かれている内容は私たちの日々の仕事にも活かせる大事なことがシンプルに書かれており、「天才」と言われたそのご自身の才能も、継続している習慣や考え方によって形成されているということが深く理解できるものでした。
個人的な話も含め前置きが長くなりましたが、本書を要約してここにまとめておきたいと思います。
将棋をあまりご存知ない方でも、ビジネスに携わっている方にはぜひ一度お読みいただきたいと心から願っています。
勝機は誰にもある
羽生さんは本書の中で「勝機は誰にでも訪れる」と語っています。どんな困難な状況に陥っても指手は無限にあるんですね。
そのためには知識を「知恵」にし、何かを覚えるだけにとどまらず、自分でどんどん実践してみる。そうすることで覚えた内容を理解し、マスターすることができます。
また時には少しリスクを覚悟して自分から危険なところに踏み込むこと。
状況の変化が激しい中守りに入るのではなく自ら決断をして飛び込むことを繰り返していると、気がつけば勝機に近づいているんですね。
直感の7割は正しい
プロの棋士でも十手先の局面を想定することはできないと言われています。
そんな時、データや前例だけに頼るのではなく、怖くても自分の直感の力で前に進もうとする勇気が必要です。
先入観や思い込みを捨てて「違うやり方もあるのではないか」「試してみようかな」という考えを持つこと、また直感力を最大限活かすため事前の準備を怠らないことが重要だと本書には書かれています。
これも将棋だけではなく、普段行なっている仕事にも言えることですよね。
戦略がなければ事業も将棋も時代の流れに取り残されてしまいます。
勝負に生かす「集中力」
深い集中力を得られるかどうかは、私の場合は、将棋を指していて、面白いと感じられるかどうかによる。楽しい局面かそうでないかで集中の度合いは全然違う。
考えて面白い局面、考えがいのある局面、そういう方向にもっていくことが集中力につながるのだ。
「面白い」「楽しい」と感じることには集中できる。そしてそう感じる方向に自ら局面を持っていくことが大切だということです。
だから自分の好きなこと、時間を忘れて没入できることをし、その時の感覚や充足感を思い出すことが集中できる型を自然に作ることができると羽生さんは語っています。
そして、何かに興味を持ち、それを好きになって打ち込むことは、集中力だけではなく思考力や創造力を養うことにもつながるのでは、と続けています。
「人生を豊かにしたければ、好きなことをしろ」とよく言われますが、好きなこと、楽しいと感じることを見つけて実践することが人生を深いものにするだけではなく、集中力や思考力、創造力などクリエイティブ面にも良い影響をもたらすんですね。
また、自分が大事なところで集中力を発揮できるように、ぼーっとする「空白の時間」を作るということ。
羽生さんもタイトル戦の前などには、対局で集中するために敢えて何もしない時間を作るのだそう。何も考えずに景色を見たり、将棋に関係ない本を読んだりして頭の中を空っぽにするんですね。
1回の対局で体重が2〜3kg落ちるほど極限まで考え抜くと言われる対局で、集中力を発揮するためには意図的にぼんやりする時間を作ることが欠かせないと本書で羽生さんは語っています。
これは将棋士だけではなく、現代を生きる私たち全てに必要なことと言えます。
「選ぶ」情報、「捨てる」情報
本書発売の2005年から15年経過した現在の2020年。
情報量はますます増え続けています。
将棋にも多くの戦法があり、プロの将棋士もパソコンを用いて情報を収集しています。
しかし大切なのは情報を自分で選び、判断して、その後にいかに新しいアイディアを出せるかにかかっています。情報が多い現代だからこそ、考える責任を放棄せず、自分で考えることがとても大切です。
また経営者の方が毎日「日本経済新聞」に目を通し、紙面から何か役立つ情報やヒントを探すように、常に情報を集め研究したり分析したりして最新の形に精通することも、勝負の世界では大事になってきます。
才能とは、同じ情熱、気力、モチベーションを持続することである
将棋に限らずどの世界でも、大切なのは実力を維持すること。
一つのことを打ち込んで続けるためには「好き」という気持ちが必ず必要ですが、そういう努力をしている人の側に身を置き影響を受けること。
またペースを落としても続けることが大事だと本書には書かれています。
途中でやめてしまうくらいであれば「牛歩の歩み」にギアチェンジしてでも毎日少しづつ続けること。これが「才能」につながっていくということを改めて実感しています。
なんと、羽生善治先生ご本人とご一緒に読書会に参加させていただきました
なんと友人主催の読書会オンラインサロンのゲストに、本書「決断力」の著者・羽生善治先生ご本人が参加される会が開催されたので、私も一緒にオンライン読書会に参加させていただきました。
羽生さんに直接質問できる時間もあり、とても充実した学び深いひとときを過ごすことができ嬉しく思います。
読書会では書籍の内容に加え、昨今のコロナウイルスにおける対局への影響や、今注目されている藤井聡太七段の強さについての見解など直接様々なことをお伺いできた他、発達するAIに対し人間がすべきことについての質問も。
AIは学習能力については非常に優れていますが、学習と推論を同時に行う能力に長けているのは人間の方。また少ないサンプルで推論ができるのも人間です。
得た情報から仮説を立てて、それを実行しトライ&エラーを繰り返す能力が、今の私たちに求められていることだと感じました。
最後に、
羽生先生も様々な書籍を読まれている読書家のお一人ですが、オススメの書籍を直接ご紹介していただきましたので、ここにシェアしておきます。
マーク・ブキャナン氏の
「複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線」
同じく同氏の
「歴史の方程式―科学は大事件を予知できるか」
どちらも偶然書店で見つけお読みになられたとのことですが、今でも「バイブル的存在」として心に残っている書籍だそうです。
とても優しく私たちの質問に一つずつ丁寧にお答えくださった羽生先生。
「書店を訪れることで読む本の基準を書店が補ってくれる」などプライベートな一面も拝見でき、とても貴重な時間を過ごすことができました。
読書会の機会を作ってくださった友人の吉川マサヒロさんには本当に感謝です!
そして羽生先生と読書会をご一緒したことは、今度父にばっちり自慢したいと思います(笑)
それでは今日はこのへんで
\お読みいただきありがとうございます/
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