先日、話題になっている書籍、FACT FULNESS(ファクトフルネス)を読みました。
世界の貧困、教育、環境、エネルギー、人口問題などについて私たちが知っている情報は20年前のもの、世間に広まっている世界に対する誤ったものの見方と、それが生じる原因をわかりやすく解説している、今年話題になっている1冊です。現在書店各店の目立つところにも平積みになっています。
「世界はどんどん悪くなっている」
「格差が広がり世界は二分化されている」
というのも私たちの思い込み。
どんどん流れてくるネガティブなニュースに対して「感じる」ことしかしていない。大切なのは本質を「考える」ことだと書かれています。
面白かったのは、特に高学歴の人、専門家、社会的地位の高い人ほど「世界の事実を知らない」ということ。
本書の冒頭には世界のことに関する様々なクイズが出てくるのですが、
例えば
Q.世界の1歳児で何らかの予防接種を受けている子供はどのくらいいる?
A.20% B.50% C.80%
(答えはC)
Q.いくらかでも電気が使える人は世界にどのくらいいる?
A.20% B.50% C.80%
(答えはC)
なのですが、平均的な正解率は7%だそう。
(ちなみに適当に答えているチンパンジーでも正解率は33%なんだって)
なぜ正解率が7%なのか、なぜ7%なのかという原因と、その正しい考え方を解説しています。
世界を正しく知るきっかけとして、大変面白く興味深い本でした。
ファクトフルネスは、モノを売る時のヒントにもなる
様々な方がこの本の書評を書いていらっしゃいますので、ここでは「普段モノを売る」ためのデザインを作っている私にとってとてもヒントになった箇所をご紹介したいと思います。
それは本書の第6章「パターン化本能」の本文。
女性が使う生理ナプキンを扱うメーカーの取り組みについて書かれている箇所です。
教育を受け、外で働く女性が増えてきていることは事実のおかげで、数十年前までは普及していなかった国(数十億人の女性対象)にも爆発的に生理ナプキン市場は拡大してきました。
ところが世界最大級の生理用品メーカーの社内会議では、
既に日常的に高機能な生理ナプキンを、金銭的に何ら苦労なく近所で購入でき使用している女性たち(約3億人)の新しいニーズを掘り起こそうと躍起になっているとのこと。
その「新ナプキン」ニーズの文章に、私は思わず笑ってしまいました。
・ビキニ用の薄型ナプキンはどうか?
・薄い下着でも透けて見えないナプキンはどうか?
・服装や場面やスポーツによってそれぞれ合う専用ナプキンは?
・山登り専用の特製ナプキンなんてどうだろう?
男性には馴染みのない生理ナプキンですが
日頃から愛用している私から見ますと、上のナプキン達がもし近所に売られていたとしても
別に、いらん。
確かにナプキンは1日に数回取り替える必要がありますので、特に外出時にはポーチの中でもかさばらない薄くて小さくてコンパクトな方が良いとされています。
ところが、3億人が対象の豊かな市場では、このような欲求は既に満たされているため、メーカーとしては、「ただ薄い」だけでは不十分、ますますニッチな分野の需要を掘り起こすための無駄な戦いに追われているということです。
その3億人の女性の一方で、
世界の20億人の女性達には、まだまだナプキンの種類を選べる環境にないと言います。
この環境の女性達は、薄い下着も着けないし、超薄型ナプキンにお金を使いません。
必要なのは安くて仕事中に何度も取り替える必要のない長持ちする安心ナプキン。
もしこの環境の女性達がニーズに合ったお気に入りナプキンを見つけたら、多分そのブランドを一生使い続け、大きくなった自分の娘さんにもオススメすると想定されます。
事実を基に世界を見て、未来のユーザーを見つけること
ここまで生理ナプキンの話を書いてきましたが、他の消費者向けの商品にも全く同じことが言えます。
間違ったイメージにとらわれて、「世界の人たちは貧しくて何も買えない」と思い込んでいるとビジネスチャンスを逃しますよ、と本書には書かれています。
余計なマーケティング予算を使い、大都市の裕福な暮らしをしているお金持ち達に「ヨガ専用ナプキン」を売ることがいかにナンセンスかということです。
「ファクトフルネス」に書かれている内容は世界規模の話でしたが、
この話はそっくりそのまま、何かのサービス・商品を売る時にとても重要で忘れてはいけない視点だと思っています。
事実をしっかり見つけて、需要がある人に良さを伝えること。
これだけモノが溢れている世の中では難しいことかもしれませんが、思い込みを捨てる、事実を見る、自分の常識を疑う、という視点が新しい市場を開拓するヒントになるのではないかと思います。
余談ですが、
私は数年前、起業家さん達の名刺をたくさん作っていました。
名刺はビジネスシーンで必ず使われますので、他人と差別化するために、それはいろんな名刺を作りました。
三つ折りになった名刺はもちろん、冊子型になったもの、ぎっしり紹介が書かれたもの、特殊印刷をしたものなどなど・・・。
特殊印刷w
今思うと笑ってしまいますが、それが差別化になると思っていたんですね。
でももしかしたら、それももう飽和状態。
例えばですが・・・
・就職活動をしている学生さん
・婚活をしている男性&女性
・飲食店の店長さん などなど
に自己紹介や自分の特徴(飲食店だったらメニューとかね)がた〜っぷり載った超印象的な名刺だったら、また違った需要が少し生まれるかもしれません。
今のはほんの例え話ですが、
このように常に自分とお客様の需要がどこにあるのか、ということを忘れずにしていきたいと思います。
それでは今日はこの辺で。
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