起業するならビジョンは必須と思った話

先日、ブランドコンサルタント・江上隆夫さんの著書「THE VISION あの企業が世界で急成長を遂げる理由」を読んだのですが、仕事をする上で、ビジョンやミッションを持つことの大切さに改めて気付かされます。

・どういう未来を望んでいるのか
・どんな世界で生きたいのか
を意思を持って明らかにし、みんなで共有できる言葉を持つことが、企業の大小に関わらず必要なことだよ、と江上さんは本書で語っています。

ビジョンのない毎日は、
同じで誰が舵を取っているのか、どこに行くのもわからないただの風まかせの航海と同じことなんですね。

こちらにさらに詳しい書評が書かれておりますので、こちらも合わせてお読みくださいませ^_^

参考 江上隆夫氏のTHE VISION あの企業が世界で急成長を遂げる理由の書評 徳本昌大の書評ブログ

ビジョンを持った企業だけが生き残る

本書では、世界最強のIT企業・GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの総称)やアメリカのアウトドアブランド・パタゴニア、日本の無印良品など、世界で成功している様々な企業を例に挙げ、それぞれの企業が掲げるビジョン=実現したい未来像について解説しています。

このような成功している企業のビジョンを見て行くと、今日本に存在する多くの企業がビジョンを明確にせず、「なんとなく経営」を行なっていることが見て取れます。

そして私も「そのうちの一人」だとドキっとさせられたのですが、
日本人の多くは「外圧」を起点とした仕事をしているということ。

未来を構想して、それを共有し、試行錯誤しながら歩んでいくことがとても苦手なんですね。

例えて言うと、テレビに登場しているリアクション芸人に近い方法です。

つまり、その時々の与えられた状況に見事なスピードと柔軟性で対応して、さらにそのことを活用して自分を有利なポジションに置いて、成長させるのが得意ということ。

幕末の黒船来航や先の敗戦にも見て取れるように、日本人は外からの圧力がかかることで能力を発揮するのが得意な民族なのではないかと本書では書かれています。

これは決して悪いことではありません。
しかし、起業して経営する時に、自分のビジョンを持たずリアクション経営を行なっているだけでは、時代の変化についていくことはできません。

ビジョンは自分の未来像。
外圧に応じて柔軟に対応することは悪くありませんが、「自分はどのような未来を描きたいのか?」を考えることは、これから仕事をしていく上で大事なことだと気付かされます。

ビジョンには公共の視点が大事

本書には、ビジョンを持つことの大切さが語られていますが、私が最も印象に残った一節は「ビジョンには公共の視点を取り入れる」というところです。

要するに「自分目線の未来像ではなく、社会に対してウチは何ができるのか?」をビジョンに掲げることです。

例えば企業として時価総額が史上初めて1兆ドル(110兆円)を超えた、アマゾンのビジョンはこの通りです。

われわれのビジョンは、地球上で最も顧客中心の企業であること。

つまり人々がオンラインで買いたいと思う可能性のあるあらゆるものを探し出し、発見しに来ることができる場所をつくることである。

ちなみに、アマゾンのこのビジョンは1990年代の創業以来一度もブレていません。

「お客様に対して、ウチができることことは何ぞや?」を常に掲げ続けた経営を行った結果、本ブログで解説するまでもないほどの企業になっていったんですね。

様々な会社が多くの商品やサービスをリリースしている今、過去のように利益を独占する企業は生き残れないと言われています。

これからの企業に必要なビジョンは公共的な意識を持つことが大事ということ。
「お客様目線」であり「社会目線」であるビジョンを持つことが必須です。

自分目線のビジネスが失敗しちゃう例


BestStockFoto / Shutterstock.com

ここで、本書から少し離れますが、
私の記憶に残っている「自分目線」話をご紹介したいと思います。

それはアメリカのラッパー、ジェイ・Zが自ら5600万ドル(約56億円)の巨額の資金を投じた音楽配信サービス「タイダル」の話。

「音楽の価値を再認識してもらう」と使命を持つ「タイダル」は、音楽スタジオやハイテク企業ではなく、楽曲を提供するアーティスト自身を所有し、仲介業者を挟まずに音楽を直接市場に投入するシステムを作りました。

Sptifyを揶揄し、対抗する考えだとされています。

こうすることでアーティストの利益が増える、素晴らしい仕組みです。
ジェイ・Zのほか、マドンナ、カニエ・ウェストなど錚々たるアーティストが共同オーナーに就任。世界の注目を集めました。

ところが、このタイダル、実は決して成功したとは言えない結果になってしまいました。
(現にタイダルを使用している人も殆ど聞いたことがありません。)

それは、
タイダルが利用者(お客様)ではなく、自分たちを含めたアーティストが成功するために存在し、掲げたビジョンも「自分たちを含めたアーティスト」に向けたものだったんですね。

ここに、当時SNSで大きく拡散された
ジェイ・Zの“迷言”とも言われている一文をご紹介します。

人々は、音楽への敬意を持っていない。

音楽の本当の価値を落としていっている。
最近は音楽は無料だと思っている。

水に6ドル(=約600円)は払うのに。それが今のみんなの気分なんだ。

本当に良い曲を聴きたいと思ったら、
無料の水道水を飲んでアーティストを支援しよう。

この一文に
「水道水はタダじゃねーし!」
「水道代払ってるし!」と非難が殺到。

多くの人の共感を得る曲と、そのリリックで成功した天才的なジェイ・Zですが、一夜にして「既得権を擁護する人物」となり全く共感されないイメージをまとうようになってしまいました。

大衆の罪悪感を刺激して音楽にもっとお金を使わせようとする億万長者の言葉に、多くの人は気分を害してしまったわけです。

「アーティスト(自分たち)が成功するため」に作られたタイダルは結局失敗とも言える結果に終わっています。

ジェイ・Zなら、5600万ドル(約56億円)なんてほんのお小遣い程度の金額だと思うので、失敗しても「ちょっと擦りむいちゃった」くらいの感覚かもしれませんが、自分目線のビジョンがいかに危険か、というのを認識させられる話です。

今日のまとめですよ

ビジョンを持つことの大切さ、
そして社会をどのようにしていきたいのか?

生きていく上でこれを考える大切さに、改めて気付かされた本書。

多くの商品やサービスが溢れる中で、共感されて選ばれる会社であるためにもビジョンを考え、それをコンパスにし仕事をしていきたいなと感じました。

「なんとなく起業」もありかもしれませんが、長く起業生活を続けていくには、自分のビジョンを持ち多くの人から共感を得て、仕事に取り組むことが必要なんだと改めて思います。

それでは今日はこのへんで

\お読みいただきありがとうございます/

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