元“たま”柳原陽一郎さんの30周年記念ライブに出かけた話

今年2020年の夏の終わり、深夜に部屋で仕事をしていると、聴いていたラジオから懐かしい曲が流れてきた。

それは、今から30年前に一斉を風靡した平成を代表する曲、“たま”の「さよなら人類」だった。

30年前10歳だった私の記憶にも残っており、当時「ちょっと奇抜な」印象を持ったことをよく覚えている。

だけど、
「さよなら人類」以外の曲も、その後“たま”がどうなったのかも、全く知らずに30年が経過した今年の夏の終わりに、そのラジオがきっかけで、つい気になってしまって仕事を切り上げ、夜中に一人でYouTubeで彼ら“たま”の演奏を視聴してみた。

その夜中の衝撃は、本当に凄まじかった。

それと同時に後悔の念が押し寄せてきた。

「なんで今まで
“たま”の曲を聴いてこなかったのだろう」と。

ズバ抜けた演奏技術、
歌詞の日本語の美しさ、
決して誰にも真似できないような発声、
人の哀しい部分の表現、

など、

全てが網羅された、芸術作品のような曲の美しさに、震えるほど感動してしまった。

ちなみに、この感覚は10代の頃にRadioheadを聴いても全然わからなかったのに、25歳過ぎたくらいで聴き直した時にガツンと殴られたような「衝撃的な感覚」にとても近かった。

その前の日まで、
相変わらずBeatieBoysとか、The1975とか、(昨年2019年の豪雨inフジロックを思い出しながら)SIAとか洋楽をランダムに聴いていたのに、翌日からAmazonで“たま”のCD、元メンバーの方がリリースされているCDを買い漁ってしまった。(まさに大人買い)

これは余談話だけど、
“たま”がカバーしたThe Beatlesの「Girl」がYouTubeにアップされているが、こんなに素敵に「Girl」をカバーしたバンドが他にあったら教えてほしい。

日本語の訳し方が美し過ぎて、ちょっと涙が出たくらいだ。

ところで、
これまで知らなかった過去のバンドやアーティストを好きになった時、一番悲しいのは、もうそのアーティストのライブに行けないことである。

既に解散している場合はもちろん、本人が音楽活動自体から引退している、あるいは残念ながら亡くなっているなど、どんなにお金をつぎ込もうが絶対に観ることができない場合がとても多いからだ。

“たま”自体は2003年に解散しているけれど、
元メンバーは、2020年の現在も、個人であるいはバンド形式で音楽活動を行なっており、CDもリリースし、ホームページもちゃんと運営されており(これがまたいい感じのホームページなんだけど)、SNSで発信もしていた。

これだけでも嬉しかったが、もっと嬉しかったのは定期的にライブ活動をしていたことだ。

そんな感じで色々情報をチェックしていると、キーボードを担当していた柳原陽一郎さんのデビュー30周年ライブが、11月に東京で開催されるとの情報がアップされていた。

2020年はご存知の通り、ライブもイベントも軒並み中止になってしまい、(フジロックも含めるとだけど)年間20本近くライブに出かけていたのが、今年はゼロ。

その「ライブゼロ現象」と「(遅い)たま現象」が合わさって、迷わずこの柳原陽一郎さんの30周年記念のライブのチケットを取って先日行ってきた。

ご存知ない方のためにちょっと解説しておくと、
柳原陽一郎さんは「さよなら人類」で歌を歌いながらピアノを弾いていた方。

1995年に“たま”を脱退し、ソロ活動に専念。
現在は弾き語りでのライブ活動を中心に、海外楽曲の訳詞、ジャズミュージシャンとの共演など多岐に渡って活動し、2018年までに9枚のオリジナルアルバムをリリースされている。

この日、11月18日に東京渋谷で開催された30周年記念ライブは、事前にファンの方から募集した「リクエスト曲」を集計し、その曲を中心に演奏する、一人きりのピアノ弾き語りライブであった。

正直、つい数ヶ月前にCDを買った“新米ファン”が、30周年記念のライブに出かけるなんて、ちょっとおこがましいような気もしたし、何気に40歳にして人生初の引き語りライブに行くことに人柄でもなくちょっと緊張もしたけれど、本当に感動して帰ってきた。

これまでいろんなライブに出かけた。
日本を代表するような大きい会場で、海外で、色々観た。

だけどこの日、この小さいライブハウスでの時間は「音楽の原点」を感じるような夜だった。

2020年、唯一リアルで観れたライブが、柳原陽一郎さんのステージで、本当に良かったと思う。

そして帰り道にふと、
途中のMCで語っていらっしゃったことを思い返して、こう思った。

「売れること」と「やりたいこと」は、本当に違うのである。

もちろん両立できたら素晴らしい。

そして両立するための方法を解説している書籍とかセミナーとか、いっぱいある。

だけど、無理に両立する必要もないと思った。
そこから生まれてくる素晴らしいものもいっぱいある。

どちらにしても死ぬ時に後悔しない生き方をしたいと思う。

と、久しぶりに色々思い巡らせる夜になった。

やっぱりライブは良き。
来年は気兼ねなく行けるようになっていてほしいと心から願う。

そして、このように音楽活動をされていることに心から感謝したいと思う。
今でも本当に素敵な音楽を届けてくれることに、本当に感謝したいと思う。

\お読みいただきありがとうございます/

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