売上うんぬん一旦置いといて美しい広告はやっぱりいいなと思った話

先日、代官山ヒルサイドテラスで開催されていた“上田義彦 写真展 「いつでも夢を」”に行ってきました。

この写真展は1990年から2011年の間に展開されていた「サントリー烏龍茶」の広告写真を一堂に集めた展示会。

代官山のヒルサイドギャラリーと、六本木の小山登美夫ギャラリーの2ヶ所で(2023年8月まで限定)開催されています。

参考 上田義彦の代表作《サントリーウーロン茶》の写真展が2箇所同時開催。Casa BRUTUS

今から20年前、
私が「グラッフィクデザインやりたい♪」と思いデザイナーの学校に通っていた頃、課題のリサーチで新聞や雑誌広告やらを鬼のように漁っていた時によく見かけた「サントリー烏龍茶」の広告。

私にとっては、“懐かしい♪”と当時の自分を思い出すような写真ですが、改めて「広告写真」の素晴らしさも感じながら帰ってきました^_^

瑞々しすぎる広告


こちらは20年くらい前に放映されていた烏龍茶のテレビCM。

いや〜、瑞々しいですよ・・・。

キャッチコピーも「あ、香り。」とかですよ。

ほんでもって会場内には、当時上田義彦先生が広告用に撮影された数々の写真が展示されているのだけど、

美しすぎる・・・。

撮影は、海南島(南)からハルビン(北)までを巡ったそうで、広告写真でありながら「旅の記録」と変わりゆく中国を写した「歴史の記録」とも捉えられる、そんな内容です。

この↓文章を読むと、
まるで小説の始まりを読んでいるような、、、そんな気持ちになります。

ウーロン茶のことを想うと、
なぜか僕は決まって冬の北京空港に降り立った時のことを思い出す。

1980年代の北京空港は今とは違い、かなり小さな空港だった。

当時そこに降り立つと暖房に使う練炭や石炭を燃やしたような香りがいつも微かに漂っていた。

そして、その香りを嗅ぐたび、
中国にまたやってきたんだという静かな喜びが、ふつふつと湧いてきた。

当時の古いロビーのガラス窓越しに、ボーッと白く煙った、遥か遠くの水平線を見つめていると、自然に「遥か感」という言葉が僕の頭に浮かんできて、その度、その言葉をそっと心の何処かで呟いていた。

(写真集「いつでも夢を」序文より)

テキスト引用元:Casa BRUTUS

現在では制作不可能では・・・?と感じる美しさ

こちらが当時の新聞広告↓

キャッチコピー、
「2000年? うふふふ」
だよ?

もう久しくこういうコピーを取り扱う制作に携わっていないし、今2023年現在だとこういうコピーだと売れない、と判断されるかもしれない(と個人的には思うのだけど)。

だけど今から20年以上前の2000年。

まだネットが出始めたばかりで、今みたいにSNSもなくて、まだまだ新聞や雑誌広告が「広告の王様」だった時代に作られた広告。

今改めて見ると、
なんと美しい
と思うばかり、ですほんと。

ちなみにこちらが今(2023年8月現在)サントリーの公式サイトに掲載されている画像↓

画像引用元:サントリー烏龍茶公式サイト

いや、、、これが悪い、とは全然思ってない。

「おなかの脂肪を減らす」
(※機能性表示食品)
というコピーもよくわかるし、

私も今サプリやら健康食品のランディングページを作る時に、「2023年?うふふふ。」なんてコピー、絶対書かないし、書いたら多分張り倒されると思う。

デザイナーの作った広告は、あくまでもクライアントの売上に貢献するために存在しているのも十二分に理解しているし、「キレイだけ・かっこいいだけ」の広告がまあまあ意味を持たないこともよく分かるし、私自身もそういう風に活動してきました。

だけどね、
このような過去の広告作品を拝見して、

美しい広告
っていいな。

と改めて純粋に感じるんですね・・・。

今日のまとめですよ

最近デザイナーを目指すきっかけの理由に

  • 家でも出先でもパソコン一台あれば稼げる
  • アプリの使い方を習得すれば3ヶ月で稼げるようになる
  • 空き時間でも仕事ができる

などなど、
「美しいものを作りたい」という気持ちとは少し違う理由を本当によく見かけます。

確かにその通りではあるし、キレイだけ・かっこいいだけの広告がNGなのもよくわかるし、中には「ダサいデザインを作れるデザイナーが儲かる♪」と謳っている方々もいらっしゃるし、それもよく理解できる。

だけどね、やっぱりね。

「美しいものが、
嫌いな人がいるのかしら?」
by ララァ・スン(機動戦士ガンダム)

と、こういう美しい広告を拝見すると、つくづくそう感じる今日この頃でございます!

それでは今日はこのへんで。

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