その“デザイン規定”はお客様のためになっているのか?

かれこれ3年ほど、
楽○市場に出店している会社のランディングページや検索時に表示されるサムネイルのデザインを担当しています。

少しはお役に立てたのか、おかげさまで売上も以前より約3倍アップ。
大変ありがたいことです。

ところがその会社から、
さかのぼること昨年の8月に慌てた電話がかかってきました。

私「どうかされました?」

店「楽○が新しいサムネイルの規定を作ったみたいで・・・全商品のサムネイルを変えろって通達が来たんです…。
今ある商品も、新しく作る商品もこの新しい規定に従ったデザインしないといけなくて…」

私「と、とりあえずその規定を確認したいので、一回資料送ってもらえますか?」

数分後、
送られてきたサムネイルに関する新規定の資料を見ると、

どうやら
今後検索結果に一覧表示される一枚目のサムネイルデザインを

アマゾソのようなデザインに統一するから全員対応しろと。
(ただしクリック後に商品ページで表示するサムネイルはこれまで通りでOKだよと)

来年(要するに今年2019年)から本格的に変えてくからそれまでに用意しろと。

従わない店には罰金払ってもらうよと。
最悪の場合は退店してもらうよと。

ざっとこのような内容が書かれていました。

では新しく用意しなくてはいけない(アマゾソのような)サムネイルはどのようなデザインなのか。

・商品名を含め文字は20%以内に収める
(商品と関係ない人物イメージ写真なども文字としてカウントする)

・商品画像の背景は基本白とする
(ベージュやクリーム色は△、黒などの濃い色はNG)

・サムネイルの縁取りは禁止

これまでは自由に作り、
検索結果時目立つようなデザインを製作していましたが、
どうやら今後はそれは禁止になる模様で、
要は、これからは“全店統一されたサムネイルで勝負しなさいよ”ということ。

そんなわけで
先に書いた取引している会社では、昨年中に100点近いアイテムを白背景で撮影し直し、さらにサムネイルデータの修正作業。それをサイトにアップという不毛な作業を、真面目に行なっていました。

もちろん私はサムネイルの修正作業ほぼ全般を引き受けました。作業自体についてはもちろん報酬が発生しますので報酬面だけで切り取ると悪くないんだけど・・・。

これが最終的なお客様のためになっているか?と言われると、
正直、若干微妙。

例をお見せしますと、このように。

これまでのサムネイル

変更後のサムネイル

(デザインの良し悪しは、置いておくことにして)

文字の配置が全体20%以内以下なんて・・・
ちょっと窮屈すぎやしないだろうか・・・。

ましてやサムネイルなんてちっちゃい表示。
20%以内に商品名とメリットを収めたら、小さくなりすぎてお客様絶対読めない。

こうなったらむしろ“文字20%以内”(一単語)でがっつり心を掴むキャッチを考えるしかないので、今となってはそれはそれで、また燃えてきていますが。

そう、20%の文字制限だと
もはや商品名くらいしか入れることができなくなったわけです。

あとは“写真勝負”になっちまう・・・

しかもその写真も、このように背景白が基準、
要は切り抜き作業をして配置しなければ、原則として規定違反ということに。
(例外もありますが基本は白背景だそうです)

ちなみに
・サムネイル修正や
・自社で美しく写真を撮るレクチャー
もお引き受けはしています。

しかし、なぜこのようにサムネイル規定を楽天が始めたのか・・・。
勝手に想像するにこのような事情を推定してみました

①アマゾソのように洗練された見栄えを目指している
②サムネイルのデザインをがっつり作る技術がない店舗は売り上げが落ちるため楽天から自主退店してしまう。それを防ぐため、サムネイルのデザインを規制し簡単なデザインに統一することによって、各店舗の売り上げを平均化する

本当の事情はわかりません。

ですがもし①と②が本当の内容だったとしたら、
全然お客様目線とちゃうやん、運営側の都合だけやん・・・。
と感じざるをえません。

私は以前に勤務していた会社で、
ファッション○ンターし○まむらの店頭パッケージやPOPの仕事をしていましたが、当時も先に書いた①のように、ある日突然店内をユニ○ロ化しようとする話が出てきました。

パッケージやPOPもデザイン規定を決めて、
この場所にコレを配置して、
この新しいアイコンを5mmで上から10mmの位置に配置して、
全部統一やでー!わしらもユニ○ロ化するんやー!
みたいな話です。

もちろん文句ひとつ言わず従いましたが、
この規定、何なん?
です。正直な感想。
お客のためになっているのか?

しま○らの店内は確かにごちゃごちゃしていて、統一感があるかないかで申しますとないと言えます。
むしろもっさい。
ですが、そんな店内には
そのごちゃごちゃ感が好き、宝物を探しているような感覚になる、
と理由でお買い物に来る女性たちがたくさんいる。

実際SNSが登場してから「しまパト」という「しま○らの店をパトロールしてお気に入りを見つける」という言葉が生まれたくらいです。

私も洗練されたデザインは好きですし、素敵です。
でもお店に必要なことは、お客様のためになる、お店&会社の売り上げが上がる、ことにつながるブランディングが大切なのではないか、とも思います。

それが洗練されたアウトプットであれば見栄えは素敵になるかもしれませんが、そうでないものでも独自のブランディングにつながるアウトプットの方法は絶対にあると思っているのですが・・・。

後半、想像した話を書いてしまいましたが、これは自分にも言えること。
他人のいいところを参考にしたり、勉強したり、真似するのはとても大事なことですが、

他所とばかり比べるのではなく

自分がどういう立ち位置か、
どういうことができるのか、
どういう人に必要とされているのか、
これからどういう人の役に立ちたいか、

と足元をしっかり見ていきたいと思います。

明日あたり久しぶりにしま○ら行ってみようかな。
私が以前に血を吐くほど作ったあのアイコン達・あの規定達は今はどうなっているのか・・・
とても気になります。
(多分もう無くなってると思うけどね)

それでは今日はこのへんで。

ーいつもお読みいただきありがとうございますー
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