連載④現場一筋35年のシェフに学ぶ集客 ーその容器にそのプリンはおかしいやろ!?ー

先日から本ブログで掲載している「現場一筋35年のシェフに学ぶ集客」シリーズ。

↓以前の連載はこちらからどうぞ↓

つい通いたくなる飲食店の味以外の要素 連載①現場一筋35年のシェフに学ぶ集客 ーその広告は「来店お断り」と言っていないかー 連載②現場一筋35年のシェフに学ぶ集客 ー小さい飲食店が生き残る秘訣ー 連載③現場一筋35年のシェフに学ぶ集客 ー“舞台意識”を持てばルーチンワークの行動も変わるー

柏駅東口の二番街アーケードの入り口にある、パスタ&ピザのレストラン“モンテローザ”さんで、シェフをされている野口正春さんが、現場のスタッフのために残した「お客様に対する姿勢について」書かれたメモを元にして、本ブログ用に再編集した記事をご紹介しています。(本ブログには掲載許可をいただいています)

“お客様思考”、“お客様目線”をいつも大事にしている野口シェフの言葉は、飲食店で働く人だけではなく、これからのクリエイターが忘れてはいけないことの一つ。

今日ご紹介するのは、
「舞台裏思考のマイナス点が出てしまった」お話です。

前回「お客様に伝わらない努力」はするな、
と言いましたが、

それはどんなに頑張っても
その努力が伝わらなければ
「0点」とということです。

そればかりでなく
その努力が0点どころか
マイナスになる場合がある事を
知ってほしいと思います。

勿論、
見るからにマイナスになるような行為をする人はいないでしょうが
「結果としてマイナスになる」ことは
意外に多いのです。

ほとんどの場合、
その原因は
「舞台裏思考」にあります。

↓↓↓

ある店舗で、
期間限定で(たしか一週間)
食べ放題フェアを企画し
実施しました。

食事メニューからデザートまで
たくさんの種類の
メニューを用意していたのです。

ふと目をやると、

デザートコーナーの棚に
すでに食べ終わった
プリンの容器が沢山並んでいました。

忙しいにのは良く分かります。

ですが、
商品と同じ棚に
食べ終わったプリンの容器を置いておくのはどうかと思い
注意すると、

スタッフは
「食べ終わった物は置いてませんよ」
と言います。

私は、
確かめもしないで言っているのだろうと思い、
そこを指差し
「じゃ〜あれは何?」というと、

またまたスタッフは平然と
「あれはプリンです」
と言うのです。

「はあ?」
私は何をいってるいるのかと、
ちょっと怒りながら
そのスタッフを棚の所まで連れて行きました。

「やっぱ、食い終わったプリンじゃん!!」
言うと

なんと
そのスタッフは

「いや、これは
食べ終わったプリンじゃなくて 

食べる前のプリンなんです」

と、言うのです。

聞けば、
ここの料理長が
原価計算をした結果、

 

8センチくらいの高さのある容器に
1センチ程のプリンを
入れることにした
そうなのです。

(画像参照)

・・・

飲食店の現場は、
時にコントより
面白いことをやってくれます。

8cmの容器に高さ1cmのプリンが入り、
それが
「デザートバイキングコーナーに
ずらーっと並んでいるところ」
を想像しながら
続きをお読みください。

さらに、
本人達はいたって真面目なのです。

私が、料理長に
「これは、ないだろう?怒」
と言うと

「自分も経営に目覚めちゃいまして、
人件費とか考えると
これが限界なんですよね〜」

と、小難しい顔で言ってくれました。

言葉を失うとは
こういうことでしょうか。

 

お客様の様子を見ていても、
みんなプリンの前で
「・・・」状態。

アンケートにも不満として書かれ、
直接クレームも受けていたようです。

せっかくの食べ放題サービスが
「舞台裏思考」により
「ケチのつき放題サービス」に
なってしまったのです。

これは、
まさに努力が
「マイナス」になった実例です。

リーダーに是非お願いしたいのは、
舞台裏から入り、
舞台裏で結論を出し、
舞台裏から帰るようなお店との
関わりは避けるべきです。

原価計算をして、
高さ1センチのプリンを
「正しい」
と考えるのではなく、

お客様の立場から、
高さ1センチのプリンは
「おかしい」
と判断してほしいのです。

このプリンの話は、極端な事例ですが、
もしかすると似たようなことを私たちも行なっているかもしれない、
という気づきがあります。

8cmの容器に1cmの高さしかないプリンを入れてしまった料理長は、決してふざけておらず真剣に人件費のことやお店のことを考えてつくったはず。

だけど、
その思いが「お客様にとって嬉しいか」と問われると、答えはNOですよね。

どんだけ美味しいプリンだったとしても、
高さ1cmのプリンを
お客様が「わ〜い、プリンや〜♪」と思って喜ぶはずがありません。

お店にとって、経費を削減することやフードロスを減らすことはもちろん大切なことですが、そればかりにずっと囚われているとこのように8cmの容器に1cmのプリンを入れてしまえ!なんてことになってしまうのかもしれません。

ちなみに、
本日の日経新聞「ビジネスTODAY」のコーナーに、こんな記事が掲載されていました。

参考 外食、マーケッター重用:集客方法「待ち」から「攻め」へ日本経済新聞/ビジネスTODAY

外食産業では、異業種で活躍したマーケティング人材の起用が相次いでいるというニュース。

おうどん屋さんを展開する丸亀製麺は、ユニバーサルスタジオジャパンを立て直したあの森岡毅氏と協業、他にもマクドナルドやケンタッキーフライドチキン、吉野家、すかいらーくなどに、他業種の大手企業出身のマーケッターがテコ入れをし、「攻める」集客に舵取りをしていくそうです。

おうどん屋さんとUSJ。

この字面だけを見ると何だか可笑しい気もしますが、
内部で気付けなかったこと、
今まで当たり前だと思っていたことも、
他業種で活躍したマーケッターなら気づかせてくれるのではないか、という期待も込められているのではないかな、と思います。

では大手企業ではない私たちのような小さい会社や個人事業主はどうしたらいいのか?

それはやっぱり“お客様目線”、“お客様思考”を絶対に忘れてはいけない、
つくづくそう感じています。

先ほどの1cmのプリンのような、
お客様から見て
「え、なんやこれ?」って思われてしまうような狭い思考や視野から脱却するように、いつも広い視点で物事を考えるような習慣を常に身につけておきたい、そしてこの思考を持ち続けて実践し続けることが、小さい会社や個人が生き残る一つの大切な道だと思っています。

それでは今日はこの辺で

\お読みいただきありがとうございます/

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