食の雑誌dancyu(ダンチュウ)に学ぶ、売れる雑誌とメディアの作り方

長く楽しくデザインの仕事を続ける秘訣は「日常生活でどれだけネタを吸収できるか」と私は常々信じています。

制作てんこ盛りの毎日が続いた時は、いそいそと外出することも難しくなるのでその間に「何もしてません♪」の日々が積み重なり、今以上の発見がない人間になってしまうのはとてもまずい。
なのでデスクに向かっていない日々の時間に、どれだけ「仕事意識」を頭に入れることができるか、これが長く楽しく刺激を受けて仕事をできる秘訣だと思っています。

そんな日々の生活で手っ取り早く「仕事意識」にスイッチを入れることができるのは、以前にも本ブログに書きましたが、ドラッグストアをうろつく、スーパーをうろつくことなのですが、

(その時の記事はコチラからお読みください↓)

デザインとコピーのネタはドラッグストアの◯◯◯から仕入れる!

それと同じくらい大切にしており欠かせないのは
雑誌をパラパラと読むこと。

雑誌不況の時代と言われていますがデザインやキャッチコピーの参考資料としてなくてなならない雑誌達。たまに立ち寄るコンビニエンスストアでも毎回ほぼ欠かさず雑誌コーナーはチェックしていますし、dマガジンと楽天マガジンは仕事の合間(だいたいお昼ごはん)に閲覧すると気分転換にもなりますし、参考資料として重宝しています。(この技術に感謝)

難しい本を読んだり、セミナーに参加して勉強することも大事ですが、
この仕事をコツコツと続けていくには
「日常生活でどれだけネタを吸収することができるか」、
「日常生活の中でどれだけアンテナを立てられるか」、
など日々の生活でできることがとても大事。
コンビニで立ち読みした雑誌一冊からもヒントや気づきが得られるものです。

さて、そんな雑誌不況と言われている今、
コンビニや書店で毎号売れ続けている雑誌があります。

それは30~40歳代の男女を主な対象とした食の生活雑誌「dancyu(ダンチュウ)」。
“食こそエンターテインメント”をコンセプトに料理やグルメといったテーマが中心に、プレジデント社が毎月6日に発売。これまでに累計130万部を発行している雑誌です。

我が家は夫が調理師であり、有難いことに自宅でも食事を振舞ってくれるので、夫も個人的にdancyuの大ファン。購入したdancyuは全号一冊も捨てることなく保存しています。

なぜ、雑誌不況の中これだけ多くのグルメガイドがある中で、dancyuは売れ続け、ファンが多いのか。

それはひとえに編集長の植野さんが「食べることが大好き」であることに他なりません。
仕事のため食事は1日に5食。卵焼き一つについてもその魅力を掘り下げまくる編集力。いわゆる「グルメオタク」です。
編集長自らラジオやテレビにもよく出演しており、dancyuの宣伝というよりも「食」に対して熱く熱く語り時にはダジャレを連発している、とても親しみの持てる大好きな編集長のお一人です。

また雑誌発行だけではなく、読者も参加できる同雑誌主催のイベントも多数開催し、体験型メディアとなっているのも人気の理由なのではないかと思います。

そんなdancyuの植野編集長が、書店やコンビニでdancyuを手にとってもらうための表紙を作り方をテレビ番組で語っていました。

・ネガティブな言葉は使わず、
・相手の想像力を掻き立てる
・ワクワクするような
この3つをキーワードに端的なキャッチフレーズと雑誌の中身が気になるような写真を用いることが、雑誌で一番大切な表紙を作るコツだと語っています。

私もよくやりがちなのですが、セールスコピーのテクニックに則って情報量を詰め込みシズル感たっぷりの料理写真を使ってしまうこと。
これだと興味を持ってくれた人に想像力を与えることができず、結局購入には至りません。

「うっわー、これ気になる!!」という思いまでにとどめる写真とコピーを選ぶこと。これが購入してもらための秘訣です。

例えば「お弁当特集」をする時、
通常の考え方だと、ご飯おかずがぎっしり詰まったお弁当箱をどーんと載せることを考えがちですが、手にとってくれた人「お弁当」に対する想像力を掻き立てるために、表紙には空っぽのお弁当箱を載せるのも一つの手法。

また「これを食べると罪悪感」などというネガティブワードはNG。
あくまでも「食=楽しい」のコンセプトを崩さないことが、dancyuの読者をキープするための手法です。

また、誌面には自宅でも作れるように有名料理店のレシピが掲載されています。
今レシピサイトは完全に動画の時代で紙に印刷されたもの、WEB上に掲載されているレシピサイトは衰退していますが、dancyuでは特に動画で紹介しているわけではありません。ですがこのレシピ掲載もdancyuが人気の理由の一つ。
このレシピをレストランから教えてもらうまで、編集部はシェフと仲良くなるために足繁くそのレストランに通うそう。数多くのレシピサイトやレシピブックと明らかに差別化ができている内容です。

反応を取るため、売り上げを上げるためにセールスコピーを駆使して文章を書くことはもちろん大事。
ですがこのように「これ買いたい!これ美味しそう!」と人に思ってもらうためにはどうしたらいいのか?と考え抜き、型にはまらずキャッチコピーや写真の選定をしているdancyuの編集部には、本来あるべきクリエイティブの姿勢と、読者を巻き込むパワーを感じます。

dancyuは「テクニックだけが大事ではないよ」と大事なことを教えてくれるとってもクリティブな一冊。
そんなことも日々アンテナを立てているからこそ気づくことができるもの。クリエイターとして長く生きていくために、このアンテナの感度だけはどんなに慌ただしい日々でもいつも磨いておきたいと思います。

それでは今日はこのへんで

\お読みいただきありがとうございます/

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