デザイナーは違う国の人だと思って接してください、だと?

先日、ごっちゃごちゃに積もりに積もった紙の資料達を整理していると、以前某有名WEB広告会社が主催した「売れるデザインの作り方」セミナーに出席した際にもらった資料が出てきました。

この「売れるデザインの作り方」セミナーは、デザイナーに向けに開催されたものではなく日常的にランディングページやチラシのデザインを必要とする一般企業の担当者に向けたセミナーだったのですが、私はここぞとばかりにこっそり潜入。

「某有名WEB広告会社が説く内容だから、さぞかし耳寄りな情報をゲットできるに違いねえ」と期待していたのですが、色彩が人に与える影響や、フォントの違いについて、などデザイナーが聞くには少々物足りない説明が永遠に続き途中で眠たくなってきました。もらった資料にも説明と同じ内容が書かれています。

そして終いには、
「デザイナーは“違う国”の人だと思って接してください」
デカデカと書かれたA4の資料が。

ち、違う国の人だと?
失礼な!ヽ(`Д´#)ノ
こっちから見りゃ、
あんたらは未知の宇宙人じゃわい!

とそのセミナー受講当時、鼻息荒くなったことを思い出す資料です。

要は「売れるデザイン」について多くのデザイナーは理解をしていないので、企業側がそれを理解し、分かりやすく具体的な言葉で指示を出さないとダメですよ、抽象的で曖昧な表現(例えば「もう少し目立たせる」など)は用いず、こちらの意図を全て伝えない、「売れるデザイン」のためには、こちら側(企業側)が主導権を持ちデザイナーを100%コントロールしてくださいよ、という意味。

「デザイナー=下請け」の図式丸出しやなー。
こんな考えの会社とはあんまり一緒に仕事したくねえな。
と思いながらそのセミナー会場を後にしましたが、帰り道ふと「まだまだ“売れるデザイン”を重視するデザイナーって少ないんやな・・・」と感じました。

この感じると、「デザイナーは違う国の人だと思ってね♪」と説いていたセミナー講師の方の思いも理解できると同時に、「何だかデザイナーという職業は、ある企業から見るとものすごーく下に見られているんかな・・・」とほんのり寂しい気持ちになりました。

となると、
デザイナーにはテクニック面はもちろんですが、相手が望んでいることを汲み取るスキルや、発言や指示の意図を読み取るスキルをますます磨いていく必要があるし、学校や現場でそのようなことを教えてあげられるような環境を整えることも必要なのではないかなと思っています。

先日「デザイナーにとって最も辛いこと」の一つとして、
度重なり降ってくる修正のことを書いたのですが、

(↓昨日の記事はこちらからお読みください)

修正指示や、クライアントの要望通りに制作を進めることも大事ですが、よりその内容と「対話」すること、それを積み重ねてクライアントとの「対話力」に結びつけることが、テクニックよりも大切なのではないかと感じます。

デザイナーの制作する成果物は形となって誰の目にも見えるものなので、様々な意見をもらうことは日常業務の一環です。そしてその意見をまとめる力や時には自分自身も第三者の目線になって冷静に考えること。
これが技術以上に大事なことなのではないかと、やっぱり思います。

昨年、山口周さんの著書「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」の中で「デザイン思考」について取り上げられていましたが、私が日常的にこの「デザイン思考」を取り入れるのであるとすれば、美術館などで芸術を鑑賞するのももちろんですが、やはり日々の仕事の中で「これはこう指示だけど、本当の意図は何だろうか?そしてこれを美しく仕上げるにはどうしたらええんじゃろうか?」と考えて対話することなのかな、とふと思った乾燥している11月の今日この頃です。

「売れるデザイン」を理解してくれるデザイナーがもっと増えてくれると嬉しいな。

それでは今日はこのへんで

\お読みいただきありがとうございます/

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