このところ読書はビジネス書ばかりだったのですが何か他の物語を読みたくなり、短編集「紙の動物園」を先日寝る前に読みました。
著者のケン・リュウさんは、中国出身のアメリカ人のSF作家。小説家の他、プログラマー、弁護士の顔を持っている多彩な方。マイクロソフト社に勤務した経験もお持ちです。
2011年に発表されたこの「紙の動物園」はヒューゴ賞、ネビュラ賞、世界幻想文学賞という史上初の3冠に輝き、又吉直樹さんが「今一番泣ける小説」としてテレビでも紹介していたそうですが、私はそんな情報を知らずに誰かが書かれたブログをきっかけに手に取ることにしました。
ストリー自体は短いですが、心を揺さぶられます。
「紙の動物園」は中国人の母親とアメリカ人の父親の間に生まれた主人公の・ジャックの話。
結婚するためにアメリカのコネチカットに連れてこられた母親は英語が上手に話せませんが、泣き虫だったジャックに包装紙を折り紙にしてトラや水牛などの動物作ってくれる優しい母親です。
幼い頃のジャックには、その紙の動物たちが唯一の友達でした。
ところがジャックは成長するにつれ、いつまでも英語が話せずアメリカの生活に適応できない母親を毛嫌いするようになり、大好きだった折り紙の動物たちも、自分に混じっている中国の血までも嫌うようになります。
そしてある日、ジャックは母親がこれまで話すことのなかった彼女の半生を知ることになるのですが・・・。
というストーリー。
親子の関係、文化や言葉の違いから生まれるすれ違い、人の優しさと悲しさを短いストーリーの中で感じることができる物語です。
この物語からは、私自身も「大切にしたい」要素が2つ感じられます。
1つめは自分のアイデンティティです。
私は海外で居住した経験がありませんが、幼少の頃は度々引っ越しを繰り返しました。
その中でも、広島から神戸に引っ越しをした時は個人的に少々ショッキングで、それまで比較的のんびり過ごしていた環境から、いきなり「塾に通うのは当たり前」の環境に身を置いた時は、のんびり過ごしていた自分のことを恥ずかしく感じたことも思い出します。
反省はしても、どんな時も自分を恥じることなく生きることの大切さを改めて感じます。
自分で自身を否定する行為は、辛く悲しいことです。
2つめは、自分自身が常に心地よくいられる「ホーム」と呼べる環境や居場所を見つけておくことです。
年齢や性別、職業、国籍や経験に関係なく心地よく過ごせる場所です。
「サードプレイス」の考えも同じですね。
自宅と職場以外、故郷以外に、心地よく過ごせる場所を見つけて、一つの場所のみに執着するのではなく、複数の場所を持っておくと何か辛い経験があった時もいつも自分自身を保つことができます。
今は1箇所にとどまらず、複数に拠点を持って活動ができる時代です。
もちろんその複数拠点で成長ができればなおのこと良いですが、「ホーム」では自分自身が心地よく過ごせることが一番なのではないかなと思います。
私の「ホーム」は今ほんの少ししかありませんが、これからいろんな場所で「ホーム」を見つけるのも楽しみです。(とりあえずそろそろ海外に行きたい・・・)
それでは今日はこのへんで
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