「安い」「誰でも」で解決できない話

ここ数日、様々なメディアで注目されている高級家具販売店の大塚家具さん。

経営不振によりヤマダ電機さんの子会社になることが連日報道されています。

経済ニュースではもちろん、経営権を争った2015年の所謂“お家騒動”を面白がっている週刊誌、ワイドショーが色々騒ぎ立てた記事を書いています。

高級な家具を取り揃え会員制を用いてきた大塚家具が、現在の社長に変わりその路線を一転。
既存店舗を誰にでも気軽に購入してもらえる店に変更してきました。

ところがそれでも売上は伸びず、今回の報道。

経営を改善するために「安く」「誰でも」の方向に舵を切ることが必ずしも解決の糸口にはならない、ということをこの報道を通じて改めて実感します。

ところで私には、今から8年前の2011年に
大塚家具の有明ショールームで家具を一つ購入した思い出があります。

そのきっかけは、当時私が暮らしていた一人暮らしの部屋に母が来た時。

私の部屋にある家具を見て「あんたの家、ベニヤ板を貼り付けたような家具ばっかりやな」と言い「30歳にもなる女の子やったらええドレッサーの一つくらい持っといたら?」という流れになり母に連れられて大塚家具のショールームに行くことに。

その時は「安い家具もええけど、ええ木を使って職人さんが丁寧に作った家具はやっぱりええもんやで」と何だか母の“昔の価値観”を押し付けられたような気がしました。

母が結婚した昭和の時代はこのように、

↑豪華な婚礼家具を購入していた時代。
(これは実家で見つけた写真ですが、今では殆ど見ることのできない光景に感じたので思わずスマホで撮影)

「職人が作った良い家具」を知っている世代なんですね。


(↑こんな結納も今ではあまり見られなくなりました)

2011年の大塚家具はまだ会員制店舗で(ちなみに、一見さんお断りではなく初めての来店でも入店可能)、お客様一組に対し営業担当の方が一人ついて店内を見て回るシステムでした。

営業担当の方は私と同年代くらいの女性で丁寧に挨拶をしてくれ、どのような家具をご覧になりたいのか?などとても親切にヒアリングしてくれたのを今でも覚えています。

関西生まれの母(オカン)は、
「いや〜、うちの娘ったらええ家具を何も持ってなくて、一度大塚さんの家具を見せてもらおうかと思って」だのいらんことをゴチャゴチャと喋りまくっていましたが、
営業担当の女性はそれに動じず、そして決して売りつけようとせず、とても丁寧に家具一つひとつを案内してくれました。「この子、オカンと来よるし、買うて帰る可能性高いから売りつけよ」という姿勢は微塵も感じられません。(ほんとは感じていたと思うが)

結局、その時に紹介してくれたドレッサーを母が大奮発して購入してくれることになりましたが、支払いと配送手続きをするために通された空間もとても洗練されており、好きな飲み物をオーダーして手続きが終わるのを待たせてもらいました。

お客様として丁重に扱われている・・・。

今でもですが当時まだまだ世間知らずだった私は、
「高いお店って、商品は高いけどめっちゃええな」と感じてお店を後にしました。

そして
「お金を貯めていいものを買うようにしよう。家具を買う時は大塚家具のあのお姉さんに相談しよう」と思いました。

もちろん、安い商品が悪いとはこれぽっちも思っていません。

私は今日もイケアで購入した組み立てソファの前で、しまむらで買ったデニムを履き、ユニクロのヒートテックとフリースを着てこのブログを書いています。

LCCの飛行機にも乗りますし、100均のお店にも立ち寄ります。

しかし、
これだけモノが溢れており、しかも実店舗だけでなくスマートフォンで購入できる今、単なる安く、みんながターゲットではなく、「どんなお客様に来てもらいたいか?」、「その人に対してうちが届けられる幸せは何か?」を考えることは本当に大切で必要なことです。

「売れないから安く」
「誰にでも来てもらいたい」
この二つを掲げてしまうと星の数ほどあるライバル他社と差別化するのは本当に難しい。

高級ならそれに合った売り方、幸せにできるお客様はたくさんいるのではないかと感じます。

アメリカでは、アマゾンの影響で多くの小売店が閉店に追い込まれる一方、徹底しまくったラグジュアリー空間を演出する超高級路線のショッピングモールが大ヒットしています。

↓その記事はこちらのブログをお読みください↓

2030年に訪れるアパレル業界の未来

もちろん、アメリカと日本では事情が異なります。

ですが
価格を下げれば売れるだろうと、今はこれが主流だからうちもこうしよう、と安易に考える前に私も含めビジネスに携わっている一人ひとりが真剣に売り方を考えなければいけない時代が来ているのではないかと思っています。

あの時母が購入してくれた大塚家具のドレッサーは、今でも私の寝室にあり、結婚式の時につけるアクセサリー、私が婚約した時にもらった指輪など大事なものを仕舞う家具として、出かける前の姿見として今でも大切に使っています。

大塚家具さんにはこれからも大切に使いたくなる家具を販売し続けてほしいな、と思います。

それでは今日はこのへんで。

\お読みいただきありがとうございます/

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